
「託児所で働く保育士って、保育園と何が違うの?」と疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。待機児童問題や共働き家庭の増加を背景に、認可保育所だけでなく、企業内託児所・商業施設内託児所・夜間専門託児所など、多様な保育ニーズが生まれています。こうしたニーズに応える施設の多くは、法律上は「認可外保育施設」に分類され、一般的に「託児所」と呼ばれています。
一方で、保育園(保育所)は児童福祉法に基づく「児童福祉施設」であり、市区町村が利用調整を行う認可保育所や、小規模保育事業として位置付けられた地域型保育事業など、制度的な枠組みが明確です。認可を受けている分、職員配置や面積などの基準が厳しく定められている一方で、開園時間やサービス内容の柔軟性は、託児所に比べると限られるケースもあります。(参照:厚生労働省「子ども・子育て支援新制度」資料)
「家庭的な雰囲気の少人数保育で働きたい」「夜間や休日だけ働いて収入を増やしたい」「企業内託児所で社員をサポートしたい」など、保育士としてのキャリアプランによって、託児所は保育園とは違った選択肢になります。しかし、認可外ならではの待遇・安全基準・働き方の違いをきちんと理解せずに転職すると、ミスマッチや後悔の原因にもなりかねません。
本記事では、託児所で働く保育士の仕事内容・1日の流れ・保育園との違い・メリットデメリット・向いている人の特徴までを網羅的に解説します。さらに、厚生労働省や内閣府のデータをもとにしたグラフ、実際に託児所で働く保育士へのヒアリング内容、SNS口コミ要約などの一次情報も織り交ぜながら、「どんな託児所なら安心して働けるのか」「求人の探し方・転職サイトの使い方」まで一気に理解できる構成にしました。
この記事を読み終える頃には、自分に合った働き方が「託児所」なのか「保育園」なのかを、自信を持って判断できる状態になっているはずです。
ここでいう「託児所」は、主に認可外保育施設(ベビーシッター会社が運営する施設や企業内保育所、商業施設内の一時預かりなど)を指します。自治体によって名称や位置づけが異なる場合があるため、転職前に自治体の公式サイトで制度の確認をしておくと安心です。
目次
託児所と保育園の基本的な違い

法的な位置づけ・管轄の違い
保育園(保育所)は児童福祉法に基づく「児童福祉施設」として厚生労働省の管轄にあり、職員配置や面積、設備などが「児童福祉施設最低基準」で細かく定められています。(参照:厚生労働省「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」)
日本では、いわゆる「託児所」と呼ばれる施設の多くが、国家の設置認可を受けていない「認可外保育施設」に分類されます。
認可外施設は、設置後に自治体への届出義務があり、法律や条例に基づく監督・基準の対象となる場合が多く、運営形態・保育内容・料金設定などが施設ごとに大きく異なるため、利用の際には事前に「届出の有無」「施設の安全管理体制」「保育士配置状況」などをよく確認することが重要です。
認可保育所・小規模保育事業の特徴
- 児童福祉法に基づく「保育所」として、保育の必要性認定を受けた家庭の子どもを預かる
- 職員配置・面積・設備などが国の基準以上であることが求められる
- 保育料は原則として所得に応じて自治体が決定(保育の無償化の対象範囲あり)
託児所(認可外保育施設)の特徴
- 企業主導型保育事業、商業施設内託児所、ベビーシッター併設型など多様な形態
- 開園時間・料金・保育内容を比較的自由に設定できる反面、基準は認可保育所より緩い場合もある(自治体の指導監督あり)
- 一時預かり・短時間利用・夜間保育など、「標準的な保育時間には乗り切らないニーズ」に対応しているケースが多い
託児所の中には、自治体への届出を行っていない施設や、基準を満たしていない「無届施設」も存在します。求人票だけで判断せず、自治体の一覧や指導監督結果公表ページを確認することが重要です。
保育時間・定員・対象年齢の違い
保育園は「0~5歳をフルタイムで預かる」イメージが強いのに対し、託児所は年齢・時間帯・利用頻度を柔軟に組み合わせて預かるケースが多いのが特徴です。(例:数時間だけの一時預かり、イベント時のみ、夜間のみなど)
上記グラフは、厚生労働省の公表資料や実際の求人票をもとに、筆者が独自に整理した「柔軟性のイメージ比較」です。具体的な開園時間は施設によって大きく異なるため、必ず見学時や面接時に確認しましょう。
少人数で子どもと深く関わりたい方には、小規模保育園という選択肢もあります。園児数が少ないからこそ生まれるやりがいがある一方で、働き方の特徴や注意点も理解しておく必要があります。向き不向きを確かめながら自分に合う職場を探したい方はこちら。
➡ 小規模保育園で働くメリット・デメリット|仕事内容と一日の流れ・向いている人の特徴
託児所で働く保育士の仕事内容と1日の流れ
託児所保育士の基本的な役割
託児所で働く保育士も、子どもの安全確保・発達支援・情緒の安定を図るという点では保育園と同じ役割を担っています。
厚生労働省の職業情報提供サイト(jobtag)では、保育士を「専門的知識および技術を用いて子どもの保育を行い、保護者に対して子育て支援・助言・指導を行う専門職」と定義しています。施設が保育園であれ院内保育や病棟保育であれ、この定義は共通で、保育士としての専門性が求められます。
(参照:厚生労働省「職業情報提供サイト jobtag — 保育士」/保育所保育指針)
ただし、託児所は一時預かりや短時間利用が多いので、「毎日同じ子どもを継続的に見る」よりも、「初対面の子どもを短時間で安心させるコミュニケーション力」が特に重視される傾向があります。
託児所保育士の1日の流れ(例)
早番~午前:受け入れ・健康観察・自由遊び
- 開園準備(室内環境の安全確認・玩具の消毒)
- 保護者から利用時間・アレルギー・体調などをヒアリング
- 検温・視診・触診による健康チェック
- 年齢に応じた自由遊びや制作活動の提供
日中:活動・食事・午睡のサポート
- 屋内外遊び・読み聞かせ・リトミックなどの活動
- おやつ・昼食の介助(持ち込みか施設提供かは託児所による)
- 午睡の寝かしつけ・SIDS予防の見守り
夕方~夜間:延長保育・送迎対応・引き継ぎ
- 保護者への引き渡し・その日の様子のフィードバック
- 夜間帯は「眠れない子への対応」「食事・入浴補助」など施設独自の業務も
- 日誌・連絡帳・アプリへの記録
夜間託児所や24時間託児所では、深夜帯に少人数で保育する時間帯があり、安全管理や自身の健康管理がより重要になります。シフトの組み方や休憩時間の取り方は、必ず面接時に確認しましょう。
託児所ならではの保護者対応・連絡ツール
託児所は「短時間利用」「スポット利用」の保護者が多いため、連絡帳よりもアプリ・LINE・メールでのやり取りが中心になるケースが多いです。 筆者がヒアリングした事例では、
- 予約~利用~決済までアプリで完結する商業施設内託児所
- 企業内託児所で、社内チャットツールと連携して連絡するケース
- 夜間託児所で、子どもの様子を定期的に画像で送る運用
など、ITツールを活用した連絡スタイルが一般的になりつつあります。
SNSの口コミ傾向を調査したところ、保育施設利用者からは「写真付きで子どもの様子を送ってくれるので安心できた」「アプリで延長保育の申請ができ、仕事が長引いた日でも助かった」といった声が複数確認できました。
これらは、X(旧Twitter)やInstagramに投稿された利用者レビューを筆者が収集・要約したもので、保育施設を選ぶ際に“デジタル連絡機能”が評価ポイントになっていることが伺えます。(参照:X・Instagramの利用者投稿の要約)
データで見る:託児所・保育園のニーズと働き方

共働き世帯の増加と保育ニーズの多様化
厚生労働省や内閣府の資料によると、共働き世帯は年々増加しており、直近では約8割近くが共働き世帯というデータも公表されています。保育所等の利用率も過半数を超え、「日中フルタイム保育」だけでなく、早朝・夜間・休日など多様な時間帯の保育ニーズが高まっている状況です。
これまで保育園だけでは拾いきれなかった時間帯を補完しているのが、託児所を含む認可外保育施設と言えます。夜間・休日の保育に対応することで、医療従事者・サービス業・シフト勤務の保護者を支えている事例も多く、「社会インフラとしての保育」をより広い意味で支える役割を果たしています。
保育士全体の平均年収・労働時間
厚生労働省の「職業情報提供サイト(jobtag)」によると、保育士全体の平均年収は約406.8万円、月あたりの所定内労働時間は約162時間と示されています。
託児所だけの統計データは公表されていませんが、夜間加算やシフト手当がある施設では、保育園より高年収を狙えるケースもある一方、認可外ゆえに基本給が低い施設も存在するのが実情です。
上記の満足度は「給与・働きやすさ・人間関係・シフトの柔軟性」などを総合的に見た主観的なイメージです。実際の働きやすさは園長の方針やメンバー構成による影響が非常に大きいため、必ず見学と複数施設の比較を行いましょう。
託児所で働くメリット・デメリット
託児所で働くメリット
- 少人数で一人ひとりとじっくり関われる
- 夜間・休日のみの勤務など、ライフスタイルに合わせた柔軟なシフトを組みやすい
- 企業内託児所では、福利厚生や社割など企業独自のメリットを享受できる場合も
- 多様な家庭・働き方と関わることで、保育士としての視野が広がる
託児所で働くデメリット・注意点
- 認可保育園に比べて基本給が低めに設定されている施設もあり、待遇差が出やすい
- 基準や研修体制が施設ごとにバラバラなため、自主的な学びや情報収集が必要
- 夜間・深夜帯の勤務では、生活リズムが崩れやすい
- 「短時間・スポット利用」が多く、継続的な発達支援の計画が立てにくい場合も
託児所=危険、保育園=安全という単純な図式ではありません。
認可外でも基準以上の人員配置・安全対策を行っている優良施設は多く存在します。大切なのは「認可か否か」よりも、園の運営方針・職員の雰囲気・保護者との信頼関係です。
託児所で働く保育士に向いている人・向かない人
向いている保育士の特徴
- 初対面の子ども・保護者ともすぐに打ち解けられるコミュニケーション力がある
- 変則シフトでも自己管理ができ、体調管理に気を配れる
- 少人数の子どもを相手に、柔軟に保育内容を組み立てるのが得意
- ITツール(予約アプリ・チャット・オンライン決済など)への抵抗が少ない
あまり向かない可能性があるケース
- 毎年同じクラスの子どもの成長をじっくり追うスタイルが好きな人
- 生活リズムが崩れると体調を崩しやすい人
- 臨機応変な対応よりも、カリキュラム通りの保育が得意なタイプ
託児所の求人の探し方と転職サイト活用術
※他サイトも含めた登録のコツ
- 最低でも2~3サイトに同時登録して求人を比較
- 「託児所」「企業主導型」「院内保育」など、施設形態で絞り込めるサイトを優先
- 気になる施設は、公式サイト・自治体の届出一覧・口コミもチェック
「どのエージェントなら本当に内定につながるのか知りたい」という方は、内定率やサポート満足度を軸に選ぶと失敗が少なくなります。実際の口コミや体験談をもとに、本当に使えるエージェントだけを厳選した最新ランキングはこちら。
➡ 【最新版】内定率が高い保育士転職エージェントTOP7|全国対応・口コミ・体験談付き
求人票の見え方や条件だけでは、理想の職場は見つかりません。見学のチェックポイント・求人の裏側の読み解き方・避けるべき園の特徴まで理解しておくと、転職の成功率が大きく変わります。探し方のノウハウを体系的に知りたい方はこちら。
➡ 保育士求人の探し方完全版|失敗しない転職のポイント【最新版】
託児所と保育園どちらを選ぶ?キャリアの考え方
「どちらが正解」ではなく、自分のライフステージとキャリアプラン次第でベストな選択は変わります。 例えば、
- 20代前半:認可保育園で基礎的な保育スキルを身につける
- 20代後半~30代:託児所で夜勤・休日勤務を選び、年収アップやWワークを実現
- 子育て期:企業内託児所や小規模保育で「自分の子どもと生活リズムを合わせる」働き方
厚労省の統計を見ると、保育士全体の平均年齢は約39.5歳とされていますが、ライフステージに合わせて働き方を柔軟に変えられるのも保育士という資格の大きな強みです。
よくある質問
託児所で働く場合も保育士資格は必須ですか?
法律上は、すべての託児所で保育士資格が必須とは限りませんが、資格保有者を優先・必須にしている施設が大半です。特に企業主導型保育事業や自治体と連携した託児所では、保育士資格が条件になっていることが多いです。
夜間託児所で働くのは危険ではありませんか?
夜間という時間帯の特性上、周辺環境や防犯対策は重要です。出入口の施錠・防犯カメラ・スタッフ複数名体制など、安全対策がしっかりしているかを必ず確認しましょう。不安がある場合は、夜間ではなく夕方までのシフト中心の託児所を選ぶのも一案です。
託児所で働くと保育園への転職が不利になりますか?
託児所での経験も、「多様な家庭と関わった経験」「短時間で信頼関係を築く力」として評価されます。保育園への転職時は、経験をどう活かせるかを具体的に伝えれば、不利になるとは限りません。
託児所の雰囲気や人間関係はどうやって確認すれば良いですか?
必ず見学や体験勤務を申し込むことをおすすめします。子どもへの声かけ・職員同士の会話・休憩の取り方など、現場を見ないとわからないポイントが多くあります。転職サイトのアドバイザーに「雰囲気が合いそうな施設」を紹介してもらうのも有効です。
まとめ|託児所と保育園の違いを理解して、自分らしい働き方を選ぼう

「子育てが落ち着いたので、もう一度保育の現場に戻りたい」そんな思いを叶えるためには、ブランク期間に不安を残さない準備が必要です。最新の保育事情・資格の更新・面接で聞かれやすいポイントを押さえておくことで、復職のハードルは一気に下がります。
託児所で働く保育士の仕事は、「少人数」「短時間利用」「多様な時間帯」といった特徴を持ち、保育園とは違うやりがいと難しさがあります。 認可保育園のようにカリキュラムに沿って年度単位で子どもの成長を見守るというより、その日その時間にできるベストな関わりを柔軟に提供するスタイルが求められます。
一方で、夜間・休日勤務による収入アップや、企業内託児所で社員を支える仕事など、保育士としてのキャリアの幅を広げられる選択肢でもあります。 大切なのは、「託児所か保育園か」という二択ではなく、自分がどんな生活リズムで、どんな子ども・保護者と関わりたいのかを明確にしたうえで職場を選ぶことです。
そのためには、
- 自治体の制度・施設種別の違いを理解する
- 複数の施設を見学・比較する
- 保育士専門の転職サイト・エージェントを活用する
といったステップが欠かせません。 一人で悩むよりも、現場情報に詳しいアドバイザーと一緒に考えることで、自分に合った働き方が見えてきます。
この記事が、あなたが託児所で働くかどうかを考えるうえでの「指針」となり、子どもたちとあなた自身の笑顔が増える働き方を選ぶきっかけになれば幸いです。
保育士として転職を成功させるためには、まず“どのサイトを使うか”が重要です。求人数の多さ・サポート体制・非公開求人の有無はサイトごとに大きく異なります。主要サービスを横並びで比較したい方は、こちらのランキング記事が参考になります。
➡ 【保存版】保育士転職サイトおすすめ比較ランキングTOP10|求人数・サポート徹底比較。
筆者プロフィール
保育士転職メディア編集長/保育業界取材歴2年
これまでに保育園・こども園・企業内託児所・夜間託児所など、延べ100施設以上を取材。現場で働く保育士へのインタビューや、転職成功・失敗事例のヒアリングをもとに、「現場目線の転職情報」を発信している。

